一週間

月曜日 月並みな言葉携えて
火曜日 火照る空気
水曜日 水彩画に寄せて
木曜日 木漏れ日ルート
金曜日 金輪際君とは
土曜日 土煙の向こう側
日曜日 日向日和


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お題をお借りしました♪















































月曜日

私は走っていた。
息を切らしながら、久しぶりに走っていた。

そう。私は追いかけなくちゃいけない。
私の人生が大きく変わってしまうかもしれないから。


「待ってー」
息も絶え絶え、足がもつれて走れなくなってきた。
それでも、私は走っていた。



「待って…お願い…」
うなるような声になっていた。
もう、走れない。





「はぁ…また遅刻だよ」


懸命に追いかけたバスに逃げられ、息も絶え絶えな私はつぶやいた。

「あぁ…喉かわいた」


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火曜日

まだまだ寒い冬の空。
一人、夕日を見ながらの帰り道。


空は寒くて、懐も寒い。
あぁ、なんて寒いんだろうと悲観的になっていると、向かいから見知った人が歩いてきていた。

「あれ、一人なの?」
なんとなく、トゲのある言葉のように聞こえたのは、被害妄想だと落ち着かせ
「そうだけど…」
言葉を控えめにした。


「ふーん。それにしても、久しぶりだよね」
まぁね。
素っ気なく答えたら、

「変わってないね、その愛想のなさ」
ほっとけ。と口をついて出そうになったのとほぼ同時


「これでも食え」
差し出された、豚まんが。

ほかほかと湯気を立てて、食べてくれーと言っていた。


「くれるの? なんで?」
警戒心あらわにした私を見てあきれたのか
「寂しそーだから」

そういいのこして、豚まんを手渡し去っていった、高校の時の同級生。



「ありがと」
姿が見えなくなってから、小さくお礼を言う。
ちょっと暖かくなった。

今度会うことがあれば、この借りは必ず返そう。
心に誓った。

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水曜日

駅に飾られていた一つの“水彩画”に惹かれていた。
テーマは、『未来』らしく思い思いの画材で描かれている未来の絵。

やけに明るいというわけでもない、かといって暗いわけでもない。
見ていると、心が温かくなる。そんな絵だったのでしばらく見とれていた。



絵のことはさっぱり分からないけれど、心が伝わってくるこの水彩画が好きだった。

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木曜日

この季節に似合う、快晴。
雲一つ無い晴天の中、気分良く公園の並木道を歩いていた。


肌寒い季節なので、通りを歩いている人は少ない。
春になると、両側の木いっぱいに桜が咲く。
その季節まで、あと少し…。



空を見上げながら、にっこり笑ってみた。
笑う、なんてちょっと久しぶりだった。


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金曜日

「君と会うと、僕までおかしくなりそうなんだ」

夕方の路地道。
人はたくさん往来しているけど、ちょうど影になった場所で、口論しているような声が聞こえた。



「それはこっちの台詞ね」
気の強そうな、女性の声もする。


喧嘩をするほど、仲がいいという言葉は聞いたことがあるけど、きっとこの場合は適用外ね。
そんなことを思いながら、通りに戻ると。見慣れた、そしてあんまり見たくない姿が見えた。



「やぁ、また一人?」
またという所に反応しかけた自分を抑え
「あなたもね?」
精一杯誠意を込めて答えた。


「いっつも、なんか怒ってるよね」
あっけらかんとした様子に、毒気を抜かれてそんなことないわよとため息混じりに答えた。

「もうちょっとしたら、卒業だね。どうするの?」
別に関係ないじゃないと思いながら、そうねぇと言葉を濁すと
「僕はね、留学しようと思って」
私の反応を見ているようだったけど、無反応だったのを見てあきれたようだ。
「別に、驚かないだろうと思ったけど。ホントに驚かないね」

「驚かなかった訳じゃなくて、なんで急にそんなこと言ったのかと考えてただけよ」
そこまで言って思い出した。
「そうだ。この間のか…じゃなくて、お礼」
借りとまで言いかけて、言わなかった自分が偉いと思った。
言われた相手はというと、礼? と疑問符が浮かんでいるようだったので、火曜日のことを話した。

「あぁ。別に気にしなくていいのに」
それじゃあ、こっちの気が収まらないとは言わず。


「お別れになるかもしれないでしょ?」
そういうと、彼は
「じゃ、日曜日に。デートでもしようか?」
私は、言葉を失った。

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土曜日

ただの河原。
何の変哲もない、河原。

私はここが好きだったから、休みの日にはよく来ていた。
明日の対策を練るために、ここに来てみたが良い案は浮かびそうになかった。
それもそのはず、主導権は全て相手に渡してしまったからだ。

あまり好きじゃない相手だけど
考えてみたら、毛嫌いする理由もないんだなぁ…と考えてもいた。


つまらないことは脇に置いて、景色を楽しむことにした。

さわやかな風と、心地いい陽気
家族で遊びに来ている姿や、運動のために来ている夫婦…
いろいろな形を見ながら、ぼんやりしていた。


ぼんやりしていると、ぶわっという音が聞こえてくるほどの突風が吹いた。
土埃が目に入らないように、目をつぶったが、風はどうやら一瞬だったようだ。
目を開けてみると、どうして気がつかなかったのだろう、こんなに奇麗な夕日に。
川辺に映った夕日が心を打った。
赤、オレンジ、紫まであるこの色彩の絶妙さに感動しない人がいるだろうか。

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日曜日

約束の2時。
時間通りに、出会い。

「どこに行くつもりなの?」
尋ねても、無駄なようで全く行き先は告げてくれない。
ただ、ついてこいと。




「どうして、デートだなんて言ったの?」
沈黙を破るように、聞いてみた。
「どうして? デーとしたいと思うのに、理由が必要?」
いつもながら、いたずらっぽい表情をしたが、すぐに笑顔に戻った。
「君が鈍感なのか、それ以上に嫌われてるのか知らないけどね…」
彼は続けた。
「僕は、ずっと君が好きだった。だけど、君はそれに気がつかなかったよね」
小声で、付け加えた。
「僕も言わなかったしね」


珍しく、言葉多く語った彼の言葉を反芻した。
「私のことが、好きだった。って言ったの?」
寝耳に水とはこのことだろうと思った。

「全く気がつかない君には脱帽だよ」

言葉が出ない私を、相変わらずの笑顔で言った。
「君と“最後”になる前に、言うだけ言おうと思って」
そうだったんだ、といろいろなところで合点がいった。




「ここだよ」
連れてこられたのは、よく知っている場所だった。
「ここって、高校の近くでしょ? 何度か来たことがあるけど…」
彼はうなずいた。
「僕は、ここによく来てた。君もよく来てたよね?」

「天気が良い日は、日光浴しに来てた」
私がつぶやくと、彼は満足そうにうなずいた。
「初めて君を見たのが、ここだったんだ」


「僕は、ここで君を見た。だけど、誰だったのかなんてハッキリ覚えてなかったよ。でも、まさか学校で会うとは思わなかった。なんだか嬉しくて、僕はきっと滑稽なことをしたんだ」
滑稽なこと…?
私は考えていた、この人を初めて見たとき…いつだっただろう。
学校で、そう教室の前で。

『あ、君は…』
そう声をかけてきた、だけど誰だか全然分からなかった。なのに、彼はお構いなしに
『あの場所にいつも行くの? そこで君を見かけたんだけど、こんなところで会えるなんて偶然だな』
そう、そういった。

何のことか全然分からないし、尋ねようと思ってもどこから聞いていいものやら悩んでいると、チャイムが鳴った…

「思い出した。その時から、なんだか気味が悪い…っていうと、失礼だけど。そう、変な人だと思ったの」
だから、嫌いだと思ったんだ。
特に理由もなく嫌いだと思っていたのは、些細なことで忘れていたからか。

彼は、照れくさそうだった。
「そう。だから、僕は君にもっと近づきたかったけどそうしなかった。僕が勝手に舞い上がってしまって、恥ずかしいことをしてしまったからね」

コホンとわざとらしく咳をした。
「とにかく、僕はここに来れるのもあと少しだし、最近は忙しくてなかなか来れなかったから、君と来たかったんだ」
そういった彼に、初めて好意を抱いた。だから、素直に言った。
「私も思い出せてよかった」
どんなに小さな事でも、思い出せて良かったと。
「連れてきてくれて、ありがとう」
自分なりの精一杯の感謝と、笑顔を込めて言った。

彼は、それを笑顔で受け入れてくれた。




告白を聞いても、昔のことを思い出しても、色々納得してもやっぱり彼と恋をすることはないだろう。
何が悪いわけじゃないけど、彼の気持ちに応えることは出来そうになかった。

ただ、

彼の幸せをつかめるように
私の幸せをつかめるように

お互いが、お互いのことを願うことで、恋とは違うけれど、愛し合うことは出来ないだろうか。
そういうと、彼は『難しいけど、それは一番良い形かもしれないね』そういってほほえんでいた。
彼がこれからも笑顔で、幸せになってくれればいいなと心から思う。


来月、彼は留学にイギリスに行くらしい。
私は、私の道を探して、歩いてみよう。


特別なものじゃなくても、“何か”を見つけてみたい。

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一語一音













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